ある晴れた日。
奥様は定期検査とアフターケアのためにクリニックへ。
「こんにちは」
おしゃれな薄茶色のサングラスを外せば、
ふたつのつぶらな瞳がキラキラと輝いています。
可憐な笑顔で「先生、よろしくお願いします」とゆっくりお辞儀をなさる姿に、
私は「こちらこそよろしくお願いします」と、ゆっくりお辞儀を返します。
新しい目とその周りの皮膚は、作った私たち自身が驚くほど自然で、
どちらの目を手術したのかパッと見たくらいでは分かりません。
奥様はご主人と一緒に心から微笑み合う日々を取り戻し、
お出かけの回数もずいぶん増えました。
その後しばらくしてご主人はご逝去されましたが、
奥様の中では永遠に生き続けていらっしゃいます。
「どんな姿になっても生きてほしい」
ご主人が最愛の妻へ贈ったメッセージを、奥様は生涯忘れません。
私たちも忘れることはありません。
世界でただひとつの愛がひとりの女性の人生を取り戻し、
医療の現場に大きな奇跡を起こしたのです。
この感動の物語に立ち会うことができて本当によかったと、
私はこの仕事に就いたことを今でも誇りに思っています。